桜涙 ~キミとの約束~
「一緒にいるのは大丈夫なの。でも、こうしてリクに触れられるだけで心臓がバクバクしだすから……」
息すら止まるんじゃないかと思えるくらい、好きが溢れる瞬間があって。
だから、怖いのだ。
「恥ずかしさとか、好きの気持ちがいっぱいになって、うっかり倒れちゃうかもしれない」
そんな事になったら、今一緒にいれる時間がなくなってしまうし、何より、リクが自分を責めてしまいそうで。
リクの腕に包まれながら、そんなことを思い、どうにか心臓が騒ぐのを落ち着かせようとゆっくりとした呼吸を繰り返す。
すると──
「……むしろ、今のセリフでオレがうっかり倒れちゃう勢いだけどね」
リクは声を漏らすと腕に力を入れて、私をキュッと抱き締めた。
「しょーがないなー。小春の可愛さに免じて今日はもらわない」
機嫌の良さそうな声でそう宣言したリク。
諦めの姿勢に私がホッとしたのも束の間。
「でも、可愛すぎてもっと欲しくなったから、小春が退院したら利子つけてたっぷりもらおっと」
……今まで以上に元気にならないと心臓が持ちそうにないな、なんて、身に余るほどの幸せを感じたのでした。