桜涙 ~キミとの約束~


さっきまで、一滴も流れなかった涙が、洪水のように溢れ出し零れ落ちていく。

彼女の書いてくれた手紙の温かさと、もう天国へと向かってしまった現実の冷たさに……


「……ふっ…ぅ…あぁぁっ」


私は、リクにとりすがって、慟哭した。


誰かを失う事が、こんなにも辛いなんて。

えぐるような心の傷みに涙する私を、リクの腕が優しく抱きしめてくれる。


労わるように背中をさすられ、そこに安らぎを感じても、張り裂けそうな胸の痛みは消えてくれない。


苦しくて。

吐き出したくて。


「リ、クッ……死ん、じゃったぁ……」


嗚咽の合間に、紡ぐ言葉は悲しいものでしかなく。


「梢ちゃんが、死んじゃったぁっ……」


結局、吐き出せば吐き出すほど、その現実を実感して号泣するだけだった。

息苦しいのが泣いてしまっているせいなのか、心臓のせいなのかわからない中、リクの掠れた声が耳に届く。



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