桜涙 ~キミとの約束~
ショックだった。
それは、一番最初に倒れ、病気の事を知らされた時に似た感覚。
突然死の怖さを忘れていたわけではなかった。
むしろ、いつもどこかに不安はあった。
でも、支えてくれる人たちのおかげで、不安に負けずにいられていたのだ。
けれど、心臓移植という段階にきたことで、死というものがグッと間近に迫ったような恐怖を覚えた。
今までよりも、もっと。
両親は、移植の登録をしようと私に言った。
生きる事を望む私は、首を縦に振った。
でも……その時私はちゃんと考えてなかったのだ。
心臓移植を希望するという事は、誰かの死を待つという事。
もう、移植にすがるしかないとはいえ……
人の死を待つ。
それはなんて、残酷で悲しい時間なんだろう。