桜涙 ~キミとの約束~
どこかでカラスの鳴く声がして、この時間特有の少し物悲しい雰囲気に、私は声を漏らす。
「ひとりぼっちって、どういう意味だったのかな」
「──え?」
「奏ちゃんと初めて会った時、奏ちゃんが言ってたでしょ」
ちょっとだけ目を丸くして私を見たリクに、昔の話を振る。
するとリクはなぜか一瞬だけ眉根を寄せ「ああ……そっか」と零すと、今度は微笑みを浮かべた。
「そうだな。うん、言ってた」
同意したリクはパーカーのポケットに手を突っ込んで、視線を私から住宅街に伸びる道路へと移す。
「ひとりぼっちって、辛いよな」
ちょっと苦しそうな顔したリクに、私は小さく頷いた。