桜涙 ~キミとの約束~
「私ね、奏ちゃんからひとりぼっちって聞いた時、変な感じがしたんだ」
「……変な感じって?」
リクに聞かれて、私は自分の心臓の部分を右手で押さえて、感覚を思い出す。
「こう……心臓が、キュッてなるような感じ。何かを思い出しそうな感覚っていうか、引っかかるっていうか」
当てはまる感覚を探すように言葉にしていると、何故かリクがどこか遠くを見るような瞳で私を見つめていた。
「リク?」
「……小春」
私の名前を呼んだリクの顔は、普段あまり見ることのない真面目なもので。
「なに?」
リクの纏う雰囲気に、私の背中がシャンとする。