桜涙 ~キミとの約束~
最近では面会も限られた人のみにされてしまっていて……
この状況に、梢ちゃんの事が脳裏によぎる。
最後は家族以外は面会できなくなっていた梢ちゃん。
私は今、その一歩手前の状態なのだと思う。
つまり、彼女と同じ病気である私は、彼女と同じ道を辿っている途中なのだ。
きっと、梢ちゃんは今の私のような体調か、それよりも重い症状の中で文化祭にきてくれてたのだろう。
そう思うと、悪いような嬉しいような複雑な気持ちになった。
そして……こうして、彼女のことを思い出すたびに、私の胸に寂しさが募っていく。
もう、あの明るい笑顔が二度と見れないのだと。
いつの間にか、テレビの液晶は今日のニュースを映している。
政治の話は難しくてわからないけど、政治家さんの厳しい顔と同じような顔で、リクが私を見ていて。
「バチスタ手術ってやつは? ドラマで見たけど、あれで治ったりはしないの?」
「先生の話では、バチスタ手術をしても根本的な治療にはならないんだって」