桜涙 ~キミとの約束~
実は、バチスタ手術の話は移植登録の話の際に聞いていた。
それまではリクと同じようにその手術で良くなるのでは、と考えていたんだけど、実際は、バチスタ手術をしても完治するわけではなく、移植までの時間を少し伸ばせるものらしい。
リクにもかいつまんで説明すると、彼の肩が元気をなくすように下がる。
表情も同じように落ち込んでいた。
「……大丈夫だよ、リク。ね?」
多くは語らずに微笑むと、リクは眉を寄せたまま微笑み返してくれる。
リクが笑ってくれる。
それだけで、私は少しずつ前を向けるんだ。
リクがもっともっと笑ってくれるように、元気になろう。
……そう、思うのだけど。
私の心に体がついてきてくれないのが現状だ。
あとどれだけ強く思えば病は気からの効果が発揮されるのだろう。
あとどれだけ笑顔でいれば、体が元気になるのだろう。
結果は、いつになったら出るの?
わからない。
でも……
リクの前では、たくさん笑っていようと心に決めている。