桜涙 ~キミとの約束~


落ち込んでなんかいられない。

落ち込ませることもしたくない。


明日を信じて、梢ちゃんのようにリクの不安なんて吹き飛ばせるような魔法使いを目指すんだ。


「……そろそろ、面会時間終わるな」

「うん……今日もありがとう」


別れ際はいつも寂しい。

けれど、引き止めるわけにもいかず、私は口元に笑みを浮かべた。

いつもならここでリクはパイプ椅子から立ち上がって帰り支度を始めるのだけど……


「……リク?」


どうしてか、リクはじっと私を見つめたまま動かない。


「どうしたの?」


何か、私の顔についてるんだろうかと疑問に思った直後、リクは私のおでこに手を当てた。


「……少し、体温高い?」

「そう、かな?」


確かにそんな気はするけど、病室内の暖房のせいだと思ってた私は首を傾げる。

でも、言われてみればいつもより体はだるい。

リクがいると嬉しさで気持ちが上がるから気付かなかったのかも。


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