桜涙 ~キミとの約束~
「あとで看護士さんに言って看てもらうね」
「ん、そうして」
小さく頷くと、リクの手が離れていく。
好きな人の体温が離れていってしまうのが切なくて。
「──リク」
私は、衝動的に彼の手を掴んでしまった。
掴まれたリクは驚いて目を丸くしたまま瞬きを繰り返して私を見ていて。
「あ、あの……ごめ──」
ごめん、と、手を離そうとした私の手を、今度はリクがしっかりと掴んだ。
トクン、トクンと鼓動が跳ねる。
体に感じる熱さが、リクのせいなのか私のせいなのかわからない。
「やっぱ少し体温高いな」
心配そうな声で囁くと、リクは「でも」と言葉を続ける。
「小春が今、しっかり生きてる証拠だよな」
切なさを含んだ声と共に微笑まれて、私の心がキュッと締め付けられた。