桜涙 ~キミとの約束~
何か大事な話でもあるんだろうか。
そう思って彼の言葉を待っていたら……
「お腹すいたから、早く帰ろう」
「え」
ニッコリと笑顔を浮かべたリクは小走りになった。
「ホラホラ、急げ!」
「ちょ、ちょっと!?」
「どっちが先にいつもの分かれ道にたどり着くか競争だ!」
「ええっ!?」
私の先を走る夕日のオレンジを背負ったリクの背中。
その背中がなぜか、私の知らないような遠い場所まで行ってしまうような気がして。
待ってよーと声にしながら、必死にリクを追いかけた。
いなくならないでという不安から生まれた自分勝手な言葉を、胸の奥にしまいながら──‥