桜涙 ~キミとの約束~
「アイツが死んじゃうかもしれないんだ」
隠していたものが、滲み出す。
「でも、手放す勇気もなくてさ」
「なに、言ってやがる」
「小春が死んだら、オレはもう、本当にこの世にひとりぼっちになる」
オレを救いあげてくれた手がなくなった時、オレは正気でいられないだろう。
「……だから、殺せよ」
「……イカレてるぜ、お前。死にたいなら、一人で死ねよ」
ドレッドが気味悪がるようにオレを見て、背を向ける。
「行くぞ」
「お、おう」
そして、三人仲良く道の向こうに消えていった。
「あーあ、いじめっ子のくせに弱虫だなー」
けど、これでオレは、あいつらから見たらイカレた関わりたくない奴になるだろう。
きっと、オレが手を出さなければ、しばらく絡まれることもない。
小春が心配する事が、少しだけ減ったんだ。
というか……
「本当の弱虫は、オレか」