桜涙 ~キミとの約束~


「アイツが死んじゃうかもしれないんだ」


隠していたものが、滲み出す。


「でも、手放す勇気もなくてさ」

「なに、言ってやがる」

「小春が死んだら、オレはもう、本当にこの世にひとりぼっちになる」


オレを救いあげてくれた手がなくなった時、オレは正気でいられないだろう。


「……だから、殺せよ」

「……イカレてるぜ、お前。死にたいなら、一人で死ねよ」


ドレッドが気味悪がるようにオレを見て、背を向ける。


「行くぞ」

「お、おう」


そして、三人仲良く道の向こうに消えていった。


「あーあ、いじめっ子のくせに弱虫だなー」


けど、これでオレは、あいつらから見たらイカレた関わりたくない奴になるだろう。

きっと、オレが手を出さなければ、しばらく絡まれることもない。

小春が心配する事が、少しだけ減ったんだ。

というか……


「本当の弱虫は、オレか」


< 437 / 494 >

この作品をシェア

pagetop