桜涙 ~キミとの約束~
「……呆れたよ」
「……奏…チャン」
いつからいたのか。
奏チャンは、厳しい表情でオレを真っ直ぐに見ていた。
「気になって追いかけてきてみれば……呆れた。僕が小春にした事も最低だとは思うけど……陸斗、今のお前もほとほと最低だ」
そんなの、わかってる。
その言葉を呑み込んで、オレは奏チャンから目を逸らした。
でも、奏チャンの声はオレを逃がしてはくれない。
「小春は今も必死に生きてるのに、どうして支えてやるべき陸斗が諦めるんだよ」
奏チャンの言ってる事はもっともだった。
小春は生きようと頑張ってる。
オレはそれを支えてやらなきゃいけない。
だけど。
「奏チャンも知ってるだろ。オレは、大切な人を幸せにできない」
支えようとすればするほど、事態が悪くなっていくのが証拠だといわんばかり。
明日を信じ続けることは難しいのに、どうして絶望するのはこんなにも容易いんだろう。