桜涙 ～キミとの約束～

「もう、許してやるといいよ」


奏チャンが、労わるような声で言うから。


「できるかな……今、言われて気づいたくらいなのにさ」


わざと卑下して笑いに変えようとしたのに。


「ゆっくりでいいんじゃないか」


また、優しいこと言われて、なんかちょっとこみ上げきちゃったオレは、膝を抱えて顔を隠した。

オレ……本当に、幼なじみに恵まれてると思う。


心底、思う。


「許せるかはわからないけど……ひとつ、わかった事があるよ、奏チャン」


なんとか意地で涙をこぼさずに済んだオレは、顔を上げて奏チャンを見た。


「オレは、今度こそ見失わない。大切な人を、オレができる精一杯で、支えていく」


今度こそ、愛してやまない、大切な人の為に。