桜涙 ~キミとの約束~
オレの宣言に、奏チャンは口元を緩ませる。
「その調子で、小春をしっかり支えてやってくれ」
「もちろん。でも奏チャンもね」
「ぼ、僕?」
ちょっと驚いた様子で自分を指差す奏チャン。
オレは頷く代わりに笑んで。
「奏チャンも、オレの大切な人だから、奏チャンが嫌でもオレは支える」
覚悟しろよと冗談めかして言えば「ほどほどに頼むよ」と笑った奏チャン。
陸斗は加減を知らないから、少し怖いななんて迷惑そうな顔してたけど……
最近、オレたちの間にあった、どこか張り詰めたような空気はすっかり消えていた。
それが、少し嬉しくて。
なんだか、全てがいい方向に動き出したような、そんな気がして。
男二人、冬の星空の下でしゃがみこみながら
今度、母さんの眠る墓に謝りに行こうと考えていた。