桜涙 ~キミとの約束~
道路の端で、さっきの小さい女の子が泣いている。
そのそばでは、女の子の母親が、動かない奏チャンを見て……震えてて。
トラックからは、運転手のおっちゃんがオロオロしながら出てきたのが見える。
ドクン、ドクンと強く脈打つオレの心臓。
力をなくしたオレの手から、缶コーヒーが滑り落ちる。
コロコロ、コロコロ。
転がって……
だらりと地面の上に伸びている
赤く染まった奏チャンの手に、当たった。
「……奏チャ……」
声がつかえる。