桜涙 ~キミとの約束~
お礼メールの返信はなくてもいいものだけど、手術のことまでも返信がないのは何かあるとしか思えなかった。
もしかしたら、気付かず奏ちゃんに嫌な思いをさせてしまったんじゃないか。
「私、もしかしたら奏ちゃんの気に障ること言ったりしてたかな?」
不安をぶつけると、リクはかぶりを振る。
そして、そのままうつむいて黙ってしまった。
「……リク? やっぱり、原因はわた──」
「違う」
うつむいたまま発したリクの声は、強い感情のこもったもので、思わず私の肩が跳ねる。
「違うんだ」
もう一度否定すると、リクは息を吐き出してから顔を上げた。
そこにあるのは、いつもどおりのリクの笑み。
「奏チャンは、いつだって小春の味方だろ。変な心配すんなって」
励ますリクの声も、いつもの彼のもので。
「うん……」
私は、どこかしっくりこない気持ちを残しながらも頷いた。