桜涙 ~キミとの約束~
「しょうがないからリクに借りにいこうかな」
「そうね。彼ならきっとロッカーに放置したまま、なんてオチで持ってるんじゃない?」
「その反対で、学校に持ってきた事すらないかも」
「ああ、それは有り得るわ」
人の事言えないのは百も承知だけど、リクは勉強が苦手。
中学の時はいつも赤点ギリギリだった人なのだ。
「ある事を祈りつつ行ってみる」
立ち上がると、よっちんが微笑んで。
「いってらっしゃい」
そう言って、凛と背筋を伸ばし私に向かって控えめに手を振る。
そんなよっちんに私は「いってきます」と一言残し、賑やかな昼の教室を飛び出した。