桜涙 ~キミとの約束~


──次に目覚めると、そこにはお父さんとお母さんがいた。

瞳に涙を滲ませて、私の頭をゆっくりと撫でるお母さんの手。


「頑張ったね」


お母さんが声にすると、不意にお父さんが背中を向けてしまう。

どうしたのかと疑問がかすめた刹那……


お父さんの肩が、震えているのに気づく。


声は聞こえない。

だけど、泣いてるとわかって……


私まで泣いてしまう。


「……私、一日一日を、大切に生きていくね」


声にすると、お母さんが何度も頷いてくれて。


私たち家族は、しばらく三人で涙を流していた。



今、生きていることに感謝しながら。



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