桜涙 ~キミとの約束~


そして、三度目に目を覚ました時……


「……小春、おはよ」


慈しむような眼差しで私を見つめる、大好きな人の姿を見つけた。


瞬間、大粒の涙がボロボロとこぼれてしまう。


手術を終えてから、こうして涙を流すのはもう何度目だろう。

だけど、どれも悲しい涙じゃない。

嬉しさや愛しさ、ありがとうの気持ちが混ざり合った、幸せな涙だ。


リクの大きくてしっかりした手が、私の手をそっと握る。

伝わる体温に、生きている喜びを噛み締め……


唇を動かす。


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