桜涙 ~キミとの約束~
「奏チャン、小春、連れてきた」
返事は聞こえない。
だけど、リクは私に中に入れと告げるように一歩下がった。
部屋を見るのが、怖い。
移植してもらった心臓が、バクバクと騒ぐ。
「……奏、ちゃん?」
私の嫌な予感なんて、当たりっこない。
祈るような気持ちで幼なじみの名前を呼びながら、奏ちゃんの部屋に一歩、足を踏み入れると。
私の視界に飛び込んできたのは……
穏やかな笑みを浮かべた
奏ちゃんの
遺影。