桜涙 ~キミとの約束~
「小春? 大丈夫?」
「あ……う、ん……ちょっと、めまいがしただけ」
急なめまいに少し動揺していたけど、心配そうに私の顔を覗き込むリクになんとか笑顔を向けた。
「大丈夫だよ。ありがとう、支えてくれて」
自分の足でしっかりと立って見せると、リクは綺麗な顔に安堵を浮かべ「良かった」と声にする。
「お前、体が丈夫な方じゃないから無理するなよ?」
そうなのだ。
自慢じゃないけど、私は小さな頃から体が強い方ではなかった。
私のお母さんも昔からそうだったらしいから、たぶん遺伝なんだろう。
「うん。気をつけます」
「そうして。にしても、小春の風邪、よくうつされたよなーオレ」
表情にはからかいの色を浮かべてぼやいたリク。