桜涙 ~キミとの約束~
「なぁ、小春」
舞い落ちる花びらを眺めながら、形のいいリクの唇が動く。
「オレがもう少し大人になって、小春をしっかり支えられるくらいになったらさ」
瞳に、私の姿が捉えられて。
「オレの家族になってくれる?」
繋がれた手に、キュッと力が込められた。
「オレと一緒に、笑ったり泣いたりしながら生きていこう、ずっと」
生きる事は困難の連続だ。
幸せに迷ったり、病を抱えたり、大切な誰かを失ったり、これからもきっと苦しみや悲しみが私たちにふりかかるだろう。
それでも、大好きな人がこうしていつまでも傍にいてくれるなら。
「よろしくお願いします」
はにかみ頷くと、リクは今まで一番幸せそうな笑顔を、私に見せてくれた。