桜涙 ~キミとの約束~


熱が上がると何故かテンションがハイになる人だっけ、なんて思い出していたら、「なにより」とリクが続ける。

私が言葉の続きを瞬きしながら待っていれば、リクは温かく微笑んで。


「お前の風邪ならいくらでももらうよ」


そう、言った。

なんだかちょっと意味深にも聞こえるリクの発言に、ドキっとする私の心臓。

私はそんな高鳴りに戸惑いつつも、呆れたように笑みを見せて。


「だったら遠慮せずうつしちゃうね」


頑張っていたずらっぽく告げると、自分の教室へと戻るべく生徒の声が行き交う廊下へと出た。


< 51 / 494 >

この作品をシェア

pagetop