桜涙 ~キミとの約束~
……まだ、心臓がトクトクと反応している。
リクが優しい言葉をくれるのは珍しい事じゃない。
他の女の子にだって冗談めかしながらも言ってるのを聞いたことがある。
だけど……
あんな風に微笑まれて言われたら、変に意識してしまう。
幼馴染だから見せる一面、なのかな?
辞書を胸の前に抱えて教室に入る。
と、視線を感じて室内を確認してみれば、よっちんがジッとこちらを見ていた。
よっちんの席は私の後ろ。
私はそのまま歩み寄る形で自分の席に座る。
「……小春」
「な、なに?」
背中越しに答える私に、再び届くよっちんの声。