桜涙 ~キミとの約束~
「何かあったでしょう?」
ああ、やっぱり気づかれた。
勘のいいよっちんなら、私の今の心境による些細な変化に気づくとは思っていたけれど……
「何かって、何? 何もないけど」
まさか幼馴染のリクの一言でドキドキしちゃいました、なんて事を素直に言えるはずもなく誤魔化す。
けれど、よっちんは少しだけ口角を上げてから唇を動かした。
「幼馴染ってとてもやっかいな関係ね」
言葉を紡ぐよっちんの声は、いつもより少し楽しそうだ。
「小春は変化が怖い?」
「え?」
いきなり怖いかと聞かれて、私はやっとよっちんの方へと振り返る。