桜涙 ~キミとの約束~
──ピピピピ、ピピピピ。
聞き慣れたアラーム音が遠くでしているのに気付いて。
世界が一気に暗くなると、桜の景色は……見慣れた天井へと変わっていた。
「……夢?」
起き抜けの掠れた声は、私の声。
その声にいつもより違和感があった私は、体を起こすとさらに違和感がある事に気付いた。
なんだか体がちょっとだるい。
……そういえば、昨日めまいを起こしたんだっけ。
やっぱり体調を崩してたんだなぁ。
「小春~っ、そろそろ起きなさーい」
階下からお母さんの声。
私は「はーい」と返事をすると、気だるい体を起こして部屋を出たのだった。
なんとなく覚えている夢を、脳内で再生しながら。