桜涙 ~キミとの約束~


リクとの出会いは私が小学校三年の時だった。

私の父親が勤めている会社の都合で転勤する事になり、少し慌ただしくも引っ越したのが三年生に進級してすぐ。

新しい学校に転入した私は、新しいクラスに馴染めるか不安でたまらなかった。


『佐倉 小春(さくら こはる)です。仲良くしてください』


自己紹介のあと、席について休み時間になっても、緊張は解けなくて。

自分から話しかけるべきか悩んでいたら……


『ボク、陸斗。本庄 陸斗っていうんだ』


リクが、お人形さんみたいな可愛い顔に笑みを浮かべながら話しかけてくれた。

嬉しくて、少し恥ずかしくて。

だけど話しかけてくれたリクの優しさに応えたくて、私は頑張って笑顔を作って挨拶をした。


『はじめまして。よろしくね、本庄くん』


その時、私の笑顔がぎこちなかったのかリクがちょっと困ったように眉を寄せて微笑んだのを覚えてる。


『よろしくね、小春ちゃん』


私の名前を呼んでくれたリク。

だから私もすぐに彼を『陸斗くん』と呼ぶようになった。


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