桜涙 ~キミとの約束~
「そ、そうなんだ」
奏ちゃんにこういう事言われたの、初めてだ。
でもこれは特別な意味なんてない。
ただ、子供扱いはしていないよと伝えてくれただけ。
私は「良かった」と笑顔で答えて話題を変える事にした。
「あ、そういえばね。今日、気になる夢を見たの」
「え? ……あ……夢?」
どうして夢の話を振ったのか自分でもわからない。
けれど、それがポンッと頭に浮かんだのだ。
話を急に変えられて奏ちゃんが戸惑っているのはわかってたけど、私はそのまま続ける。
「うん、あのね……」
桜の風景と小さい頃の自分。
そして、そこに自分と同じくらいの小さな男の子がいたいたこと。
私は奏ちゃんに今朝見た夢の話をした。