桜涙 ~キミとの約束~


独特の匂いがする保健室は、日差しが差し込んでいて暖かい。

ピピピ、と音がすると、密かにファンクラブまであるらしいイケメン保健医の中村先生が私に向かって手を伸ばす。

私はそれに従って、ワキに挟んでいる体温計を取り出し、先生に渡した。


「38度7分」


少し低くてセクシーな先生の声が、私の体温を告げる。


「景色がユラユラしてるのは気のせいじゃなかったんですねー」


アハハと力なく笑うと、先生は「アホか」と口にして小馬鹿にした視線を私に向けた。

元々クールな瞳が更に冷たさを纏っている。


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