桜涙 ~キミとの約束~
風邪をひいていたから出やすくなったのかな?
私が首を傾げると、先生は組んでいた足をほどき椅子から立ち上がった。
そして、ひらりと白衣の裾をなびかせて、薬の並んだ棚の前に立つ。
「とりあえず薬を飲め。で、早めに帰れ」
言うと、錠剤の入ったピンを渡された。
「少し寝るなら、ベッド空いてるから使っていいぞ」
先生は紙コップに水を注いで私に差し出した。
それを受け取ると、また椅子に腰掛けて、デスクの上に広げていた書類らしきものにペンを走らせる。
私はそれをボーッとした頭で見ながら、薬を飲んだ。