桜涙 ~キミとの約束~
「いいよ。わざとじゃないんでしょ?」
「うん……って、そんな簡単に許せるもの?」
「だって、わざとじゃ──」
「見られて何とも思わなかった?」
「え?」
聞かれた言葉の意味がわからなくて返答できずにいると、またリクの声がドア越しに届く。
「恥ずかしいとか、そういうの、なかった?」
「それは……」
思ったよ、と答えようと声を出したけど続かなかった。
それを言ったら、何かが変わるような気がしたからだ。
なのに……
リクは、言葉にした。