桜涙 ~キミとの約束~
「え、ちょっと、なにっ?」
軽くテンパった私は無意識に体を強ばらせて足を止めてしまう。
それを面倒に思ったんだろう。
「あー、もうっ、とにかく付き合えって」
少しイラついた声で言うと……
「──ええっ!?」
あろうことかリクは。
「走るから掴まれっ」
私を、お姫様抱っこして走り出した。
「なななな、なにっ!? 降ろしてよリクッ」
「ダメ。説明はあとでするからさ」
あとでと言われても、この状況は……
恐る恐る視線を校庭を囲む生徒に向ければ、ほとんどがこちらに向いていて。
恥ずかしくて瞼をギュッと閉じると、今度はいくつもの冷やかし混じりの楽しげな声が耳に届く。
体育祭っていうのは、少なからず生徒それぞれが活躍するわけだから注目を浴びる事もあるとは思うけど……
これは恥ずかしすぎるっ!