桜涙 ~キミとの約束~
今に始まった事じゃないのに。
小さい頃だって何度か言われてた。
『小春ちゃん、大好き』
満面の笑みで言われて、私も大好きだと返していたのに。
小春しか思い浮かばなかったというのも、それと同じだ。
なのに、どうしてこんなに心臓が騒がしいの?
顔が、熱い。
心臓のドキドキがおさまらない。
自分のクラスの控えスペースに戻ると、よっちんがクスリと笑った。
「ああ……もう、なんか、凄く疲れた」
座った私がつい零すと、よっちんは「お疲れ様」と労って背中をさすってくれる。
本当に、どうしてか凄く疲れた。
走ったせいなのか、それとも変に反応してる心臓のせいか、完治してない風邪のせいかはわからないけど、体に感じる異様な疲労感にちょっとぐったりしてしまう。
けれど、そんな状態でも私の頭の中では"大切な者"というリクの言葉が何度もリフレインしていた。