ほうき星 ~運命の輝き~
「待てよ希!」
立ち往生したままだった悠が後ろから駆けて来た。
「待ってって」
「ひゃっ」
一向に止まる気配のないあたしの腕を後方に強く引かれた。
その反動で体が後ろに倒れ込んだ。
ヤバっ…倒れる!!
身構えて強く瞳を閉じた。
その時――!!
「っと」
背中に伝わるじんわりとしたぬくもり。
ふわりと鼻をかすめる馴染みの体温。
「わり…強く引き過ぎた」
「あ…」
顔を上げると真上には申し訳ない表情をした悠。
あたしは知らぬ間に彼の胸板で受け止められていた。
…厚い胸板。
知らない間に大きくなってたんだ。
いつまでも子供のままじゃないんだ。
「希?」
「え…あっ」
我に返って咄嗟に悠から離れた。
トクトクトク…
あれ?おかしいな。
心臓がいつもと違う。