ほうき星 ~運命の輝き~
「わぁ…」
空一面に瞬(またた)く星々。
周りに視界を遮るものが何一つないからかいつにも増して綺麗に映る。
手を伸ばせば届きそうとさえ錯覚してしまう。
無意識のうちに夜空へと手を伸ばす。
夜空に輝くいくつもの宝石に触れようとした瞬間。
「ブハ…っ」
「!」
突然隣から聞こえた笑い声。
バッとそちらに目を向けると、腹を抱えて大笑いしている悠。
「ちょっ何笑って」
「ハハ…いや、俺もここにお袋に初めて連れてこられた時、同じことしてさ」
「はあ!?」
「今の俺みたくお袋も笑ってた」
微かに笑いを噛み締めつつ悠は言葉を続けた。
「でも…こーゆートコに来ると自然と手が伸びるよな」
そう言って彼はまた夜空を見上げた。
「そ、だね」
あたしもつられて見上げる。
その先には。
暗闇を照らす月明かり。
果てしなく続く漆黒の世界。
その中でキラキラと輝き存在感をアピールする星たち。
ついさっきまで冷たいと感じていた夜風も今となっては心地よい。
結んでないせいか、この時間特有の弱々しい風でも髪が宙に浮く。
靡く横髪を耳に掛けてフゥ…と一息ついた時―――。
「「あ!流れ星」」