ほうき星 ~運命の輝き~
悠も同じタイミングで同じフレーズを口にした。
咄嗟に横を見ると月が雲に隠れてしまったせいで表情は分からなかった。
でも感覚で分かる。
お互いの目と目が合う。
視線がぶつかる。
悠は、一体どんな想いであたしを見つめるの?
お願いだから顔を見せて…?
そう願った時―――
月に掛かっていた雲が晴れた。
少しずつ照らし出される悠の顔。
「ぇ」
そこには…。
凛としたいつもの澄ました顔はなく。
代わりにあったのは、うっとりするほど甘いマスク。
どう、しちゃったの…?
明らかに様子がおかしい。
と、感じた時。
目の前の悠が忽然(こつぜん)と消えた。
驚いて下を見ると悠が地面にしゃがみ込んでいた。
「悠?」
あたしもその場にしゃがみこみ悠の顔を覗き込んだ。
「ッ」
覗き込むと悠はバッと顔を背けた。
まるであたしに顔を見られないように。