れんあい日記
山啓がいた。
「なに?」
あたしは聞く。
『実はさ…』
「男だろっ!さっさと言えよって〜!山啓らしくないよ?」
『俺さっ、彼氏いるのわかってっけど、お前が好き。』
「えっ?」
無意識に驚きの言葉がでる。
『今まで俺、彼女が途切れたこと、あんまなかったから他の女に目を向ける余裕がなかった。芽依と別れてから塾に行った日、席替えだった。なんかさみしかった。芽依は自分からだったから、自分でもこのさみしさは芽依じゃないって思った。今まで、塾には近くになつきがいた。席替えしてから、なつきが近くにいないと塾がつまらなくなった。そして俺は気付いた。俺にとって大切な人は、なつきってことに。だから…そのっ…俺、告るの初めてだから何て言ったらいいかわかんねえ』
『だから、俺と付き合ってくんない?やっぱ彼氏いるから無理かな?』
今頃おそいよ..
あたしの目頭は熱くなっていた。
「考えさせて…」
あたしはそれだけ言って、その場から立ち去った。涙がこぼれてしまわぬように…。

あたしは無我夢中で走った。
途中、はぎと雪子ちゃんに呼ばれたが、悪いけど無視してしまった。

山啓?
あなたはずるい人です。あたしに片思いの辛さを教えてくれました。
でもあなたは、あたしにもう1つの辛さも教えました。過去の気持ちを思いだす辛さを…。
本当にずるい人です。
そんなあなたとわたるで揺れたあたしもずるい人。
あたし、どうしたらいいのかな?
あたしは2人のどちらかを選ばないといけないんだね。
ついこの前までは、わたるが好きだったのに。
ねえ、あたしはどうしたらいい?
誰か…誰か…誰か教えて?
どっちを選べば、あたしは幸せになれる?
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