もうひとつの恋
毎月恒例になってきたさとみさんの家での食事会でも、ワイワイと騒がしいのが当たり前になってきている。


まあこれはこれで楽しいけどな……


そう思う一方で、さとみさんと二人きりになれないことにジレンマも感じていた。


厳密に言うと、健太もいるから二人きりにはなれないんだけれど……


でも今はこの距離感がいいのかもしれない。


「桜井ぃ、ほら、肉あげる」


美咲さんの声にハッとすると、どうやらさとみさんに怒られたのか俺の皿に肉をてんこ盛りに乗せているところだった。


俺は苦笑しながら、こんな団欒もいいもんだなと思う。


自分の恋はまだまだ叶いそうもないけれど、好きな人達に囲まれて俺は今までにない幸せを感じていた。


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