もうひとつの恋
「あいにく高めるような気持ちを美咲さんには持ってないもんで……」


そっけなくそう言い捨てると、美咲さんはようやく自分の非を認めて謝った。


「わかったわよ！

悪かった、ごめんなさい！」


俺の機嫌があまりにも直らないものだから渋々頭を下げる。


ニッと笑って彼女に向き直ると、俺は勝ち誇ったように言った。


「やっと謝った

ようやく自分が悪いってこと認めましたね？」


彼女はそれが悔しかったのか、頬を膨らませながら俺を睨み付ける。


「あんたね！

その性格なんとかなんないわけ？

ほんとさとみと全然態度違うんだから」


「そうですか？
そうだとしたら、美咲さんの俺への態度が悪いからじゃないですかねぇ？」


とぼけたようにそう言うと、美咲さんはますます憤慨した様子でブツブツ俺に向かって文句を言ってくる。


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表紙・目次

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