もうひとつの恋
俺はそれらをうまくかわしながら、本来の目的を果たすために彼女をなだめた。


「もうその辺で休戦にしましょうよ

今日は健太のプレゼント買いに来たんですから」


健太の名前を出すと、膨れっ面で怒っていた美咲さんの顔がフッと緩む。


「そうだった……忘れるとこだった……

じゃあ、さっさと行こ?

何にしよっかなぁ」


もうすっかり俺のことなんか忘れて、健太に何をあげようか思案し始めた美咲さんは、子供みたいで吹き出しそうになる。


見た目とのギャップが激しいんだよなぁ、この人……


先にどんどん歩いていく美咲さんの後を追いながら、俺は必死に笑いを堪えていた。


オモチャ売り場につくと、美咲さんは途方にくれたようにグルリと辺りを見回して、そばにいた俺に話をふってきた。


「ねぇ?男の子って何が好きなのよ」


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