もうひとつの恋
こないだ遊びに行った時も、紙にぐちゃぐちゃ書いてたし、色がたくさんあったら喜ぶかな?


健太の最近の様子を頭に思い浮かべながら、12色入りのクレヨンと画用紙を手に取る。


ちょっとだけ考えて、アンパンマンの塗り絵も一緒に買うことにした。


「桜井ー!決まった?」


そう呼ばれて振り返ると、かごに一杯のミニカーを抱えて美咲さんが立っていた。


「えっ!?ちょっ!
美咲さん?

まさかそれ全部買う気ですか?」


俺が目を丸くしてそう言うと、美咲さんは当然とでもいうような得意気な顔で答える。


「そうだけど?悪い?

せっかくの健太の一歳の誕生日なんだよ?

ケチケチしたくないじゃない!」


チラッと俺の買おうとしていたクレヨンと画用紙を見ると、プッと鼻で笑ってバカにしたような顔をした。


「何?桜井ったら、もしかしてそれだけ?」


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