もうひとつの恋
俺は言い返す気力も起きずに、この無謀な姉さんをどう納めようかと考える。


「美咲さん……

たぶんそれ全部買っていったら、さとみさんにものすごく怒られると思いますよ?」


呆れたようにそう言うと、「えっ!?」と驚いた顔をして、焦ったように俺に聞いてきた。


「なんで?いろんな種類のミニカーだよ?

喜ぶに決まってるじゃん」


わかってないと言わんばかりでそう訴える彼女に、俺は遠慮がちにそうじゃないということを伝える。


「部屋もそんなに広いわけじゃないし、置く場所に困るんじゃないですかね?

それにさとみさん……物は大事にするタイプだし、教育的にもオモチャをたくさん与えるのは嫌がるんじゃないかと……」

そう伝えると、言われた意味を理解したのか急に動揺し始めた。


自分の持っていたかごを見つめながら、この中のどれを選んだらいいのか迷ってるみたいだった。


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