もうひとつの恋
いつもの勢いとは違う美咲さんの慌てた姿を見て、笑いそうになる。


仕方なく彼女のそばに近寄ると、一緒に選んであげることにした。


「消防車とかパトカーとかは割と人気だと思いますよ？

あっそれと意外と清掃車とかも後ろが開くんで面白いかもしれないですね？」


一つ一つ手に取りながら説明してあげると、珍しく美咲さんは素直に頷いて、小さな声で「ありがと」とお礼を言ってきた。


意外と可愛いとこあるじゃん。


「美咲さんが素直だと雨が降りそうですね？」


なんだか調子が狂ってしまって、俺はわざと憎まれ口を叩いた。


「はぁ？人がお礼を言ってんのに、なにその言い草！」


いつもの調子を取り戻した美咲さんを見て、俺は心の中でなんとなくホッとした。


それぞれの品物をプレゼント用にしてもらうと、20日に予定している健太の誕生日会にまた会う約束をして、俺たちは別々の道を帰っていった。
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表紙・目次

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