もうひとつの恋
結衣とばったり再会してから、すでに半年が過ぎようとしていた。
急に仕事が忙しくなり、バタバタと毎日雑務をこなすのに精一杯で、さとみさんと唯一会える毎月の食事会にもここ2ヶ月くらい行けてない。
まめに連絡はとってはいるものの、なかなか会えないことに焦りを感じていた。
小さい子供なんか少し会わないだけでも、俺のことなんか忘れちゃうんじゃないだろうか?
そんな不安がよぎる。
結衣に背中を押されて、さとみさんに自分の気持ちを伝えると決めたのに、それもまったく果たせてない。
そんな気持ちとは裏腹に、どんどん仕事は忙しくなっていく。
課長は今の奥さんが働いているとかで、子供の面倒を見るために、なるべく残業を避けるようになっていた。
そうなると必然的に、独身の俺に仕事が回ってくるということになる。
仕事は嫌いじゃないが、さとみさん達と過ごす時間を削ってまでというのは、正直辛い。
彼女たちとの食事会が、いつの間にか俺にとってストレス解消になっていたんだと気付いた。