もうひとつの恋
「えぇ!何でだよ!

あの子やぎって主役だぜ?

俺なら狼より健太がやった子やぎのがいいけどなぁ」


すると健太は目を輝かせて俺を見た。


「そうだよねっ!しゅやくだもんね?」


どうやら何とか納得したみたいだ。


ふと周りを見ると、さとみさんと美咲さんは先生やママ友達と話し込んでいる。


俺は健太に向き直ると、小さな声で内緒の話をした。


「健太、今日頑張ったご褒美に何かしてもらいたいことあるか?」


「してもらいたいこと?」


「そう、オモチャを買ってあげたりするのは簡単だけど、それじゃ面白くないだろ?

どうせならどっか行きたいとことかあれば、連れてってやるよ」


「ほんと!?

じゃあね、じゃあねぇ

おれ、どうぶつえんがいい!!」


「おれ」って格好つけて言うくせに、動物園に行きたいって言うところがもうすぐ3歳だなと可笑しくなる。


「おっ!いいねぇ

健太は何の動物が好きなの?」


「ゾウ!!ずかんでみた!」


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