もうひとつの恋
「桜井くん、ごめんね?
健太見ててもらっちゃって」


美咲さんに続いてさとみさんも顔を出す。


どっちに答えることも出来なくて、健太と二人で笑ってごまかす。


「何?何?怪しいー!

健太!?桜井になんか変なことされなかった?」


美咲さんがそう言って健太の顔を両手で包み込む。


「大丈夫だよ?

みぃちゃんは?何してたの?」


健太はそのまま美咲さんにくっついて、なにやら甘えている。


ナイス!健太!!


うるさい美咲さんを黙らせるとは……


あいつ、将来が楽しみだな?


ていうか……こんな歳から女を手玉に取るんだから、逆に心配なのか?


そんなことを考えながら、とりあえず美咲さんからの攻撃を逃れたことに安堵した。


ふと視線を感じて横を見ると、さとみさんが不思議そうに俺の顔を見ている。


「あっ、えっと……

お疲れ様です」


咄嗟によくわからないことを口走ってしまうと、さとみさんはクスッと笑った。


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