もうひとつの恋



健太の3回目の誕生日をいつも通りのメンバーで盛大にやり終えたのは、つい最近のこと。


俺はさとみさんに告白するタイミングを図っていた。


動物園に行く約束をしたのはお遊戯会のあった10月だから、すでに2ヶ月以上が経っている。


お正月も過ぎて、すっかり空気も冷たくなり、なんとなく動物園を言い出すには寒すぎるような気がした。


少し暖かくなってから行くにしても、今のうちに美咲さんに協力要請しとかないとな?


そう思って、今夜は美咲さんを呑みに誘っていた。


なんとか協力してもらえるよう彼女が好きそうな居酒屋を選んで、待つこと30分……


相変わらずの遅刻魔だ。


でも今日だけは、下手にでないといけないわけで……


何時間でも待ってやろうじゃないか……と心の中で覚悟していた。


先にビールを頼み、チョビチョビとお通しをつまみながら呑んでいると、入口のドアが開いて美咲さんが入ってくるのが見える。


< 149 / 432 >

この作品をシェア

pagetop