もうひとつの恋

確かにそれはそうだと思うが、振られた前提の話をしてるとはいえ、妙に切なくなった。


「ま、まあそうですけど、でもさとみさんは気まずくないかなって……」


「さとみは桜井のこと、信頼してるし、いつまでも側にいてほしいと思ってると思うよ？

ただ、それが男としてじゃないとこがミソなんだけど……ね？」


申し訳なさそうに、でもはっきりとそう言い切る美咲さんに、俺はやっぱり振られるんじゃないかと自信を失う。


「そんなにはっきり言わないでくださいよ……

一か八かどころか１％も可能性ないような気分になってくるじゃないですか……」


弱気になってそう言うと、美咲さんはフッと笑いながら俺に言った。


「だーかーら！

言ってんじゃない！厳しいよって

でも健太も桜井になついてるし、多分パパになってほしいって思ってると思うから、そこを加味してさとみがどう転ぶかだよね？

勝因があるとすればそこじゃないかな？

あんたのことは弟目線だからさ？さとみは」