もうひとつの恋
いつもこんな感じで全然信じてもらえないことに少しだけヘコむ。


「相変わらず全然俺の気持ち受け止めてくれないんだもんなぁ……」


そう言った言葉に本音が混じってるってことを、彼女はどのくらいわかってくれているんだろう?


そんな感傷に浸っていると、電話の奥から微かに健太の声が聞こえてきた。


「ママぁ、まだ?プリンたべたいよ」


どうやらさとみさんが電話しているので、健太がぐずりはじめたようだ。


「ごめんね?純ちゃんからなの、もうちょっと待ってて」


さとみさんが優しくそう健太に言うと、「じゅんちゃん?」と嬉しそうに俺の名前を呼ぶのが聞こえる。


「ごめんね?健太が代わりたがってるんだけど、いいかな?」


「いいですよ?

俺もここんとこ健太に会ってなかったんで、声聞きたいし」


そう言うと、すぐに健太の元気な声が携帯から聞こえてきた。


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