もうひとつの恋
「もしもし?」


「健太?元気にしてたかぁ?」


「うん、じゅんちゃんこんどはいつあえる?」


嬉しそうにそう話す健太が、俺は可愛くて仕方ない。


「前に動物園に行く約束したの、覚えてるだろ?
今度の日曜日に連れてってやるよ

だから、健太は自分のこと全部出来るようにしとけよ?」


「わかった!やくそくね?」


満足そうにそう言うと、さとみさんと電話を代わった。


「なになに?ずいぶん楽しそうに話してたじゃない?なんの話?」


そう聞かれて俺は、さっきの仕返しとばかりに、答えを焦らした。


「聞きたいですか?

どうしよっかなぁ」


さとみさんは俺のそんな仕返しには動じる様子もなく、含み笑いをしながら素っ気ない返事をする。


「別にいいけど?健太に聞くから」


「ちょっ!そんなぁ

言いますって……

健太に今度動物園行こうって約束しただけですよ」


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